アグロフォレストリーいしがき
Agroforestry Ishigaki-island (AFI)
アグロフォレストリーという言葉は、アグリカルチャー(農業)とフォレストリー(林業)の二つの単語で構成されています。日本語では、「森林農法」とか「混農林業」とか呼ばれています。
デジタル大辞泉では、
「樹木を植栽し、そのあいだの土地で農作物を栽培すること。土地を有効活用し、森林の保護と作物栽培の両立を図る」
と述べられています。
アグロフォレストリーとは
身近なアグロフォレストリー
最近では、アグロフォレストリーという言葉をテレビでもたまに観るようになってきました。
アサイーという果物を生産しているフルッタフルッタは、ブラジルの農場でアグロフォレストリー農法でアサイーを生産しており、アグロフォレストリーを前面に出しています。また、株式会社 明治は、アグロフォレストリーチョコレートを販売し、地球環境にやさしい農法で生産されたカカオを使っていることをアピールしています。
一方、アグロフォレストリーは広大な敷地で森をつくるための農業というイメージが先行しています。それはどこか日本の農業とはかけ離れた遠いところで行われる農法のようにとらえられていますが、日本はアグロフォレストリーという横文字で農法が分類される以前より伝統的にアグロフォレストリーは実践されているのです。
例えば、平成25年5月石川県七尾市で開催された国連食糧農業機関(F A O)の世界農業遺産国際会議において、大分県の国東半島宇佐地域が世界農業遺産に認定されました。クヌギの木を維持管理し、萌芽林からシイタケのホダギを生産、そしてシイタケがクヌギ林の日陰で生産されます。また森林の保水力とため池の貯水により下流域の水稲やしちとうい栽培他さまざまな農業を可能にし、丘陵地から海岸に至る流域全体にレッドリストにも載せられているイワギリソウやカブトガニ等豊かな生物多様性が維持されております。この農業システムはアグロフォレストリーとして分類できると思われます。
アグロフォレストリーがもたらす利益と不利益
アグロフォレストリーの構成要素として、必ず樹木があります。その樹木の存在は何をもたらすか、ということになります。
・樹木が鳥や昆虫のすみかとなり、生物多様性が増す
・風が葉や枝を通過することによって、強い風は弱められ(破風効果)、夏場裸地であたためられた風がその間を通ることで温度を下げてくれる(微気象の緩和)
・肥料木といわれる樹種を植えると、土壌を肥沃にする
・土壌の流出を抑制する
・保水効果がある
・木材生産や、果樹等を植えることで、農作物とは別に2つ以上の生産物をえられる
・二酸化炭素を固定し、地球温暖化の抑制に貢献する
・景観を美しくする
・台風や干ばつなどの被害を抑制する
などなど、アグロフォレストリーの実行方式によっていろいろな効果や利益をもたらすことがわかっています。
しかし、アグロフォレストリーは使い方によっては、不利益も生じます。
・樹木を植える分、主目的である農産物を生産する面積が減少する
・樹木の日影が農作物の生長に影響を及ぼす場合がある
・単作より機械化の効率が落ちる
・樹木と農作物との組み合わせによっては土壌水分や養分の競合が
起きる
アグロフォレストリーの定義
「『アグロフォレストリー』とは、アグロフォレストリーという言葉を使った人と同じほどの定義の仕方がある。」(King,K.F.S)
という言葉もあるぐらいです。
定義について、さまざまな論議がされてきておりますが、詳しいことは別途取りまとめるとして、ここでは代表的な定義を参考にして、以下のようにまとめてみました。
アグロフォレストリーとは、
目的をもって植えられたまたは残された樹木と
農作物、動物や家畜、海の生き物が、
同時または交互に組み合わされた
土地利用方法
その樹木は大きく分けると生産するための目的と保護するための目的の2通りの役割に分類でき、そのどちらか一方か二つの目的が組み合わさったりします。
生産目的・・・果物を生産する果樹(コーヒーやナッツ類も含む)、家畜のえさを生産する飼料木 他
保護目的・・・・木陰を作る日陰樹、土壌流出抑制や垣根を作る生垣林、風から農地を守る防風林、雨水を保持する水源涵養林 他
防風林が果樹だったりすれば、この二つの目的が同時に達成されます。ちなみに2つ以上の目的のために利用される樹種のことを多目的樹種といいます。
もっと詳しく定義について知りたい方は、こちら
アグロフォレストリーの形態
アグロフォレストリーの分類については、様々な基準に基づく方法があるのです。ここでは簡単にどのような形態があるか紹介します。
以下は代表的な形態で、別のページで説明しています。