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生垣間作(アリークロッピング)

アリークロッピングは、生垣状に樹木を植栽し、その樹木の列と列の間に農作物を育てるやり方です。発展途上国においては非伝統的な焼畑を行う農民を定着させるための代替手段として奨められ、また先進国においても持続可能な農法として様々な研究が進められています。

*アリークロッピングは(alley cropping、アレイクロッピングともいう)、生垣間作(hedgerow intercropping)と実行方式上同じ意味にもとらえられています。

fig_ikegakikansaku.JPG

左の図は、アリークロッピングが理想的に機能した場合の概念を示したものです。図の樹木はマメ科の植物です。根に根粒を持っており空気中の窒素を固定する根粒菌が共生しています。窒素は植物の生長に欠かせない栄養成分です。深層まで達した根は農作物が通常利用し得ない土壌栄養を吸収し枝葉となって地表に出てきます。光合成によってさらに養分を蓄えた枝葉は地表に落ち、表土を被覆し水の蒸散や排出および土壌浸食を抑制します。枝葉は次第に分解され土を肥やし、作物の栄養となり、有機物が豊富な土壌状態を保つ働きをします。

この循環は、ひとつの自然生態系、すなわちエコシステムが畑の中で出来上がった状態です。アリークロッピングは、人工的に人が管理しやすい形でエコシステムを作り、その恩恵を利用する方法といえます。

図 傾斜地のアリークロッピング概念図

(参考:Kang,B.T., L.Raynols and A.N. Atta-Krah. 1991. Alley farming. Advances in Agronomy 43: 315-359)

右→の写真は、シルキーオーク(Grevillea robusta)という樹木と農作物との組み合わせです。樹木と農作物を交互にかつ列状に植えてあります。平坦な農地でアリークロッピングの典型的な形です。

シルキーオークは根が地中深くまで伸びるため、根が浅い農作物と水分や栄養分を奪い合うことはなく、防風林等として作物の保護に役立っています。またシルキーオークは、

家具等や最近ではギターの材料としても利用される木材として有用です。

写真: シルキーオーク(Grevillea robusta)と農作物の列状植栽(パラグアイ国パラグアリ県JIRCAS試験地)。写真提供:海外林業コンサルタンツ協会

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