top of page

ホームガーデン

ホームガーデンは、家の敷地内や近いところに色んな樹木や野菜等を植え、家族が自給的に栽培するものです。日本の田舎の風景としてよく見かけるのが、家の周りに観賞用の庭木があり、家の敷地の境に生垣、自給用のミカンの木があったり空いている土地に家族で食べる野菜を栽培していたりします。伝統的な田舎の風景としては、そこにニワトリが放し飼いされていたりもするのですが、最近見ない気がします。

 

 

ホームガーデンの特徴としては、小規模であり、世帯単位で管理されています。

生産物は自給が主であり、販売はあくまで補助的である場合が多くなります。販売できるだけのまとまった量は確保できないが、収穫期には自分の家族での消費では多すぎるほどとれるといったケースはありがちで、そんな時は採れたものを近所や親戚に分けて回ります。あえて余るぐらい作ることもあるでしょう。互いがそのように分け合うことで地域とのつながりが円滑になります。また互いに分け合うことは、言い換えれば物々交換であり、貨幣を使わなくても生活を維持する重要な手段でもあるわけです。

ホームガーデンにはよく果樹が植えられます。実を採るためだけでなく、木陰を作り家を涼しくし、憩いの場を提供します。隣との境界には生垣が植えられ、境界線を明確にすることで不要ないさかいを避けることに貢献します。列状に植栽される生垣は、防風・破風効果があり、ホームガーデンや家屋を守る役割をします。そういう点では、人の生活そのものに一番近く影響を与えるアグロフォレストリーはホームガーデンであるといっていいでしょう。またホームガーデンで生産される作物が直接生産者である家族の口に入る点で、食べたいもの、育てたいものの基準が世帯の嗜好を一番反映しやすい作りになります。

ホームガーデンは、家と隣接しています。ということは、一番目が届きやすいところに位置しており、手もかけやすいわけです。

ホームガーデンには通常いろんな農作物や樹木が混在しているため、おのずと生物多様性は高くなります。家畜や家禽類の飼育も含まれ、残り物をエサにしたり、糞尿を肥料にしたり循環があります。

自分たちが食べるために作るのだから、商品作物のように見た目は気にしなくてすみます。だから「見た目」のために農薬を使用する必要がないのです。農薬を使わなければ害虫の天敵を殺虫することがなく、より多様な動植物が混在し自然に近い状態が維持されます。

このように、一番人に近く、その人の想いを形にし、自然と接することができるアグロフォレストリーがホームガーデンです。

写真 フィリピン国カラウアグの農家。

マンゴー、バナナ他多種多様な作物が栽培されている。

bottom of page